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デジタル日野気象台
航空機からACARS (Aircraft Communications Addressing and Reporting System)として伝送されている運用データの中から、気象データのみを抽出し、気温、風向、風速を、高層気象データとしてグラフプロットします。

1500m上空の気象 (5分に1回更新)


地上の気象に最も影響がある、1500m上空の気温および風のデータを下に表示します。
上空に寒気が入った場合しばらくたって地上の気温が低下するのがわかります。このグラフで地上気温の予測がより早くできるでしょう。冬季においては、東京で南岸に低気圧が通るとき「1500m上空の気温がマイナス3℃以下になると雪になる」といわれます。降雪の予測にも有効だと思われます。
1500mのデータはJAL便が羽田空港を出発直後に報告するもので、深夜のデータは極くわずかです。
赤の線は傾向線で、8年間の平均値から求めたものです。(このページの最下段参照 2023/11/29追記)

   
 
 


1500m上空の気温 1ヶ月(深夜に更新)
   
 
1ヶ月の1500m上空の気温変化を見ると、周期的に変化し、それが地上の気温に影響しているのが見て取れます。

1500m上空の気温 日ごとの平均を昨年と比較 3ヶ月(深夜に更新)
   
 
1500m上空の日ごとの平均気温を3か月間、昨年と比較します。

鉛直分布 (5分に1回更新)
   
 
高度(altitude)に対する気温(temperature
対流圏では気温は100メートル高度が上がるごとに0.65°低下することが知られています(空気の上昇と雲の発生)。このことを赤線で基準線として示しています。
プロット温度がこの線の右にあれば気象は安定で、左にあれば上空に寒気が入っており大気不安定といわれています。

 
高度(altitude)に対する風向(wind direction
 地上近くではめまぐるしく風向は変化しますが、上空ではいつも西(270°)向きの風が吹いていると言います。実際に見ていると、かなり変化があります。

   
高度(altitude)に対する風速(wind speed
上空では秒速数十メートルのジェット気流が吹いているといいますが、風速は一定ではなく、季節によって変化します。

1年間の変化 (深夜に更新)
 
1年間の上空の気温の変化を示します。高層天気図にならって、1500m、3000m、5700m、9600mのそれぞれの1日の平均値を求めています。たとえば1500mの場合、1500m±100mの航空機からの報告データを1日分平均します。


 
1年間の上空の風速の変化を示します。1日の平均を、1500mと9600mについて示します。
冬には100m/sにも達するジェット気流が吹きますが、夏には、上空の風速は、穏やかになります。

 
1年間の上空の風向の変化を示します。1500mと9600mについて示します。
一番外側が昨日、中心が1年前。ドット1つが1日の平均風向。風速に従ってドットの大きさを変えています。
上空の西向きのジェット気流は夏には吹かないことがわかります。


航空機からACARS (Aircraft Communications Addressing and Reporting System)として伝送されている運用データの中から、気象データのみを抽出し、多数の航空機の気温、風向、風速の報告を、高層気象データとしてグラフプロットします。高層気象データは正確な天気予報に無くてはならぬもので、気象庁が実施しているラジオゾンデによる高層の計測は1日2回でしかありませんが、ここでは5分に1回ほぼリアルタイムに表示しています。直近1時間の値と、本日の値、昨日の値を、色を変えて表示し、変化を見えるようにしています。
ACARS (Aircraft Communications Addressing and Reporting System)およびVHF Data Link - Mode 2(VDL2あるいはVDL-M2 )を受信・抽出する方法はこちらこちらに示します。(2016/3/28公開)

1.ラジオゾンデは約2万メートルまで(風船が破裂するまで)計測されますが、航空機の巡航高度は最高1万メートル前後であり、限定されます。しかし、地表から高 さ約1万メートルまでの範囲を対流圏(troposphere)と言い、気象現象はほとんどこの中で起こっていますので充分です。
2.あたりまえですが、航空機の飛ばない深夜時間帯あるいは荒天の時にはデーターがえられません。雷雲の中のデータを見たいですが、避けて飛んでいるため、無理のようです。
3.航空機はラジオゾンデのように垂直に上昇するわけではなく、またACARSは数100km遠方のデータを受信します。広範囲の受信データを用いると、どこのエリアの気象データかぼやけていまいます。ここでは、緯度34.75〜36.5、経度 137.5〜140.5の中(図はこちら)に入った航空機のデータに限定しています。当地では、1日に2000個以上のデータが得られます。
4.データは、気温、風向、風速のみで、湿度はありません。
5.航空会社、機種によって気象データのACARS通報が様々です。日本航空の機種が、離陸直後のデータを詳細に高度1500m付近まで報告しています。それより上の高度1600mから2800m付近のデータは、極端に少ないです。
6.羽田から離陸すると、飛行機は一旦東京湾上空に出ます。上昇中に1500mの高度に到達するのは、東京湾上空です。上に示した1500mのデータは、当方から東に50km離れた位置におけるデータとなります。
5.ACARSは古い方式のため、新技術をいれたVHF Data Link - Mode 2(VDL2)に移行されるようです。 これは従来のACARSに比べ10倍の伝送速度で、航空機と地上の間のデータ伝送する方式です。当方ではあらたなソフトウェアラジオによる受信機を作り、2017年11月から、受信を開始しました。

リアルタイムに上空の天気を公開しているサイトはこちらにもあります。
ACARS受信・公開は電波法にふれる可能性がありますので、こちらのように配慮しています。(2020/06/07修正)

1500m上空の気温グラフ赤の線は傾向線で、次のように求めたものです。(2023/11/29追記)
(1) 観測開始した2006年から8年間の1500m上空の気温を1時間ごとに平均値を求める。
(2) GNUPLOTのFitting機能を用い、多項式で近似する。5次の多項式を仮定し、次の値としています。
    f(x) = a*x**5 + b*x**4 + c*x**3 + d*x**2 + e*x + f
    a = 7.27928e-018
    b = -1.1189e-013
    c = 2.30763e-010
    d = 1.85963e-006
    e = -0.00153487
    f = -1.90965
ここでxは1月1日0時からの、時間


横軸 x は1月1日0時からの時間  オレンジは8年間の1時間平均値 赤が求めた傾向線
 
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